マイスリー (入眠剤) |
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・概説 |
寝つきをよくする薬。 |
・作用 |
【働き】
脳の神経をしずめる作用がある。
そして、不安や緊張感をほぐし気分をリラックスさせて、自然に近い眠りに誘う。
【薬理】
脳内の眠りに関連するベンゾジアゼピン1受容体に強い親和性を示す。
この受容体を介し、睡眠導入機構に作用すると考えられている。 |
・副作用 |
比較的安全性の高い薬。
正しく服用するかぎり、重い副作用はまずないが、人によっては、翌朝に眠気やふらつき、けん怠感や脱力感などが残ることがある。
高齢の人は、転倒にも注意する。
特殊な事例だが、一過性前向性健忘やもうろう状態、夢遊症状の発現が報告されている。
服薬後寝るまでの出来事を覚えていない、夜間起床時の行動を覚えていない、といった事態が起こる。
仕事を控えた短時間の仮眠前の服用などは避けたほうがよい。
とくに多めの量を長く飲み続け、体が薬に慣れている状態で急に中止すると、かえって眠れなくなったり、不安やイライラ、吐き気、震えなどの反発的な症状がでることがある。
中止するときは、医師の指示のもと徐々に減量するようする。
また、自分だけの判断で安易に量を増やしたり、用法を守らず昼間に飲んだりすると、効きめが悪くなるばかりか薬に頼りがちになり、なかなかやめられなくなってしまいます。
指示された用法用量を守ることが大切。
【重い副作用】
めったにないですが、初期症状等に念のため注意。
依存・・・長期に多めの量を飲み続けると、体が薬に慣れた状態になりやめにくくなる。
このとき急に中止すると、いらいら、強い不安感、不眠、ふるえ、けいれん、混乱、幻覚など思わぬ症状があらわれることがある(徐々に減量すれば大丈夫)。
精神症状・・・もうろう状態、異常行動、夢遊症状、興奮、取り乱す、幻覚(とくに、もともと精神障害がある場合)
一過性前向性健忘・・・服薬後寝るまでの出来事を覚えていない、夜中に起きたときの出来事を覚えていない、もうろう状態。
呼吸抑制・炭酸ガスナルコーシス・・・息苦しい、窒息感、翌朝の頭痛、頭が重い。
肝臓の重い症状・・・だるい、食欲不振、吐き気、発熱、発疹、かゆみ、皮膚や白目が黄色くなる、尿が褐色。
【その他】
眠気、ボーッとする、頭が重い感じ、頭痛。
ふらつき、めまい感、けん怠感。
口が渇く、吐き気。
発疹、かゆみ。
長期連用で効き目が悪くなる。 |
・特徴 |
広く睡眠薬として使用されているベンゾジアゼピン系に近い薬。
比較的安全性が高く、効き目もよいので、不眠症の治療によく使われている。
同類薬のなかでは、持続時間が超短時間型。
寝つきの悪いときや一時的な不眠に適す。
持ち越し効果が弱く、翌朝の眠気や不快感も少ないほう。
ベンゾジアゼピン1受容体に選択的に作用するため、睡眠作用に比べ、抗けいれん作用、筋弛緩作用などは弱い。
薬に対する慣れ(耐薬性)や中止時の不眠(反跳性不眠)も少ないとされる。
切れがよい反面、服用直後や夜間起床時に一過性の健忘やもうろう状態を生じることがある。 |
・注意 |
【診察で】
持病やアレルギーのある人、また妊娠中の人は医師に伝える。
服用中の薬を医師に教える。
夜中に起きて仕事をすることのある人は、医師に伝える。
【注意する人】
筋無力症、緑内障のある人は使用できないことがある。
また、喘息や肺性心など呼吸器系に病気のある人も、症状によっては慎重に使用する必要がある。
適さないケース・・・重症筋無力症、急性閉塞隅角緑内障、呼吸機能が高度に低下している場合など。
注意が必要なケース・・・呼吸器系に病気のある人、心臓病、肝臓病、腎臓病、脳に病気のある人など。
控えたほうがよいケース・・・仮眠の前、夜中に一時的に起きて仕事をするとき。
【飲み合わせ・食べ合わせ】
安定剤や抗うつ剤などメンタル系の薬と併用すると、強く効きすぎたり、副作用がでやすくなる。
服用中の薬があるときは、必ず医師に伝える。
副作用が強まるおそれがあるので、飲酒は控える。
また、お茶に含まれるカフェインは、この薬の効果を弱めることがある。
寝る前は、日本茶、コーヒー、紅茶など控えたほうがよい。
【使用にあたり】
寝るすぐ前に飲む。
飲む前にやるべきことを済ませておく。
仮眠の前はよくない。
たとえば、十分な睡眠時間をとらないまま起床して仕事をしなくてはいけないとき、また、夜中に一時的に起きて仕事をする場合は、この薬を飲まない。
日常的なストレスによる一時的な不眠に安易に用いることには賛成できない。
医師の指示によるが、服用を開始する場合、まずは必要最少量とし(1回5mg)、眠れないときだけ頓服するとよい。
増量は慎重に行わなければならない。
長期連用時、自分の判断だけで急に中止してはいけない。
急に飲むのをやめると、反動でかえって眠れなくなったり、イライラや強い不安感、震えを生じることがある。
【妊娠授乳】
妊娠中の服用はできるだけ避けることが望ましい。
医師とよく相談する。
授乳中もできるだけ控えるようにする。
医師の判断しだいだが、服用する場合は授乳(母乳)を中止するのが基本。
【食生活】
とくに高齢の人は、夜中にトイレにいくときなど、ふらついて転倒につながるおそれがあるので、十分注意する。
翌朝まで薬の影響が残り、眠気やふらつき、注意力が低下することがある。
そのような場合は、車の運転など危険な作業は避ける。
とくに、睡眠時間が十分にとれなかったときは要注意。
起床・就寝時間を一定にし、睡眠リズムをとりもどすようにする。
生活習慣の見直しも大切。
【備考】
眠れない原因はさまざま。
家庭や仕事上のトラブル、悲しい出来事、あるいは入院などのストレスで一時的に眠れないことがありますし、神経症やうつ病、統合失調症など心の病気が原因のこともある。
さらに、呼吸器の病気、心臓病、痛みやカユミなど体の病気も不眠を起こす。
不眠症の治療は、原因疾患の治療、環境の整備などを合わせておこなうことが大切。
むやみに薬の種類や量を増やしても、結局は効き目が落ちてくるので、生活や職場環境などが安定し症状がよくなってきたら、医師と相談のうえ計画的に徐々に減量したり頓服のような飲み方に変えることも考慮する。
医師の判断で薬を減量したり中止できるのが理想的。
副作用の少ない薬なので、無理をせずゆっくり治療すること。
薬以外の心理療法や自律神経訓練法も効果的。 |
・効能 |
不眠症(精神分裂病及び躁うつ病に伴う不眠症は除く)。 |
・用法 |
通常、成人は酒石酸ゾルピデムとして1回5〜10mgを就寝直前に経口服用<br>
なお、高齢者には1回5mgから服用を開始。<br>
年齢、症状、疾患により適宜増減するが、1日10mgを超えないこと。 |
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